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万物にエロスを見出す男・光長ゆうきさんが話す就活の本質とは?〜後編〜

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万物にエロスを見出す男・光長ゆうきさんの記事の後編です。

 

まずは前編のおさらいを。

光長さんは大学1,2年生時に取り組んだラジオ番組制作に取り組んだ際、視聴者数局内1位にするために、

①誰に対して届けるのかを明確にすること②聴きたくなるコンテンツ作り③コンテンツの売り出し方の3点に注力しました。

 

その原点になるのは、小中高のブームの仕掛け体験。

みんながなんとなく思っているものを言語化することで、みんなが其れを言うようになる。でも、ただ言葉にすればいいのではなく、ここでも大事なことが3点ありました。

まず、誰もが知っている言葉から生み出すこと。次に、対象の雰囲気や性質を捉えていること。最後に、みんなが真似して作り変えやすい言葉にすること。

例えば、ホリエモンのように、今でも根強く残っているのは、この3点と合致しているからでしょう。

 

このような経験をしてきた光長さんが考える就活の本質とは、内定を得ることではないそう。

自分がどんなことに没頭できて、誰の役に立てるのかを見極めることこそが本質的な課題で、あくまでも就職はその手段にすぎないのだとか。

その上で、学生と企業が選び合う関係が、ラジオの番組と視聴者の関係と一緒ということに気づいた光長さんは、

①どんな人と働きたいのか(=ターゲットの設定)②自分の特性をどう捉えるのか(=コンテンツの創作)③コミュニケーションの設計をする(=売り出し方を考える)の3点に注力したそうです。

 

幾度となく自己理解を重ねた結果、光長さんが没頭できることは「コミュニケーション設計を通じて、人を楽しませること」。

それをターゲットである企業人事にわかりやすく示すために、小さい頃からなんとなくしていた「万物にエロスを見出す」を特技として公言し始めたそうです。

 

さて、それでは後編ではその「万物にエロスを見出す」について、もっと深く聞いていきましょう。

 

4.万物にエロスを見出した就職面接

-「万物にエロスを見出す」とはどういうことでしょうか?

あらゆる物事にエロティックな解釈を見出すことです。

面接で行った目的は、コミュニケーション設計に対する想いを言葉で伝えるより、示すためです。面接は、起承転結があります。

「起」は掴みです。ESの特技の欄に「万物に・・」と書きました。聞かれたら概要を答えます。続いて「承」で実演です。例えば、面接官の方のMacbookAppleのくぼみに指を当てて、「君の果実がこんなに熱くなっているねぇ」と答えました。

-そうすると、面接官はどういう反応をされるんですか?

なぜ、そんなことをするのか?とお叱りが入ります。ここで、「転」です。なぜエロスが伝わったか考察します。直接的な表現は使ってないからです。

人類は昔、言葉を持ちませんでした。なので、身振りや狼煙、石の配置でコミュニケーションをしていました。今は言葉やSNSがありますが、人類が連絡と通信手段を生み出した原動力は、意思疎通に対する強い意欲であり、その本質が、「相手と感覚で通じ合うこと」にあると僕は考えます。そこで、「今僕たちが通じ合ったことが、正にコミュニケーションの本質です。」と述べた上で、志望理由と繋げました。

この構成の型は、番組制作時代の型と全く同じでした。

 

もう1つの目的は、誰と働くかの見極めです。どういう人達と働きたいかを定義して、それを見定めました。これも番組企画と全く同じ考え方をしました。

① 特に、誰に落とすかを決める【ターゲットの定義】

⇒ 異端を歓迎する・本質に着目する・変革を求めている人たちと働きたいと定義。

② 人の心に響く作品を制作する【コンテンツの創作】

⇒ コミュニケーション設計を通じて、人を楽しませる事や問題解決に没頭する男。

③ 制作物の売り出し方を考える【売り出し方の設計】

⇒ 万物にエロスを見出すことを広告に、ターゲットを選りすぐり、想いを伝える。

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初めてのインターンで、懇親会のアクティブな雰囲気に溶け込めなかった光長さん。部屋の隅で、万物にエロスを見出していた所、人が人を呼んで溶け込めたという。「僕にとって、この特技はローション(注※潤滑油)になりました。」(本人談)

5.IoTとEoTの時代へ舵を取る。

-入社が決まっていますが、現在はどんなことに関心があるのでしょうか?

関心は、世の中の皆さんに商品を買って頂くことや、イメージを普及させるための仕掛けを考えることです。今の僕が没頭できることの仮説は、IoT(Internet of things=万物がネットを通して繋がる)という「未知のライフスタイル」の普及に、関心を活かすことです。ただし、仮説なので、運命とも柔軟に向き合おうと思います。

-その決断はどの様に導いたのですか?

最後の方は直感でした。元々、違う会社に行くことも考えていました。

ある時にきっかけがあって、人が他者と関係を持つ時の構造を考えました。

例えば、男女の関係が成立するときは、以下の3点があると思います。

まず、①お互いにとっての「幸せの理想」が一致している、 理想の一致。

次に、②現状、お互いに適切な相手がいないか、欲求不満を感じている、課題の存在。

③両者が関係を持つ事で、双方の理想が満たされる、決断の期待の3点です。

 

これを、働く環境選びに転化しました。

1点目は、「目指す理想が一致するか」で、これは理念や事業・人への共鳴です。

2点目は、「理想を実現する上では、課題が生じる」という仮説を語ることです。

情報革命には功罪があると僕は考えます。テクロノジーが進歩するだけではなく、それを使う僕たち人間の心も進歩しなければなりません。

何が人間の幸せなのかという根源的な問いや、長期的な進歩の為に、従来の法律や価値観をどうアップデートしていくかという問いに、人類は直面すると思います。

その課題を察知し、商財や企画を通じて、国民の皆さんに働きかけていく。

そこに、コミュニケーション設計を活かせるかなと考えて、決断しました。

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課題解決の泥臭さ・本質の探究・数学的な推定に力不足を痛感した就業体験。この時の悔しさ以降、他の人に感情移入すること、物事の本質を辿ること、具体と抽象を行き来する思考習慣が身に付いたという。

-光長さん自身の夢も教えていただけますでしょうか?

夢はシンプルに、「嫁の裸で、興奮できる毎日を過ごしたい」です。

それこそ、嫁にエロスを見出すことで、新たな魅力を発見したいです。この探求心を持つ人が増えれば、浮気や不倫が激減すると思います。

そう考えると、万物にエロスを見出すことを、一種のアートにしたい。品のないことを語ることが本意ではなく、主旨は「人間特有の知性や感性を源泉に、作る側と視聴する側が通じ合う」という上質なコミュニケーションの追求です。

今の僕がエロスを見出しても、只の駄洒落になりますが、芸術の成り立ちは「誰が言うか」と「どんな思想の元で描かれるか」で変わると思います。

裏を返せば、「誰が」を満たすには、自分が仕事で成果を出す男になること。「思想」は、人間に対する洞察、コミュニケーションに対する考察を、深堀り続け、表現することです。

どんな芸術や宗教も、既存の価値観に生きる人達から、最初は異端とみなされたはずです。しかし、やるべきことをやれば、人間の意識の中で、「万物がエロスに繋がる」、EoT(Eroticism of thing)が芸術として認知される状態を作れるという仮説を持っています。

 

-最後に、地方学生へ伝えたいことを聞かせてください。

まずは、限界を決めずに、「没頭できる何か」を見つけること。

没頭した体験は、抽象化すれば、他の体験に転化することができます。そうすると、自分が受け取れる情報の範囲が広がります。

そして、旅や人、本の「情報に投資する」こと。この2点です。

個人的には、人との出会いが、自分を形作った実感があります。

でも、そのためには、自分が相手に価値を提供できることが先です。なので、本や旅・観察を通じて、考察を深めることや、相手を慮る意識が大事です。

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光長さんと筆者が参加した、日本を創り継ぐプロジェクト2016

編集後記

光長さんとと出会ったのは大学2年の夏ごろ。その後日本を創り継ぐプロジェクトに誘われて、そこでも同じチームになりました。その時はまだ「万物にエロスを見出す」は特技として公言していなかったものの、ものすごく思考の深い人間だと感じた思い出があります。

彼がSoftBankに入ることで、ぼくらの生活がまた変わってくるかもしれません。

ラジオや就活の話をしたい学生の皆さんはぜひ、会ってみてください。